英作文による英語力診断検査

 

「英作文による英語力診断検査」とは、英作文による英語アウトプットを通じて、それぞれの英語学習者の英語力における問題点と学習ポイントを具体的に検出しようとする独自の英語力検査ツールです。英作文を英語力「測定」ではなく「診断」に用いるのは、非常に珍しい試みではないかと思います。

 

私は日本人にとって英語学習とは「リハビリ」の一種と考えています。思うように動かない舌、耳、頭。日本語であれば苦もなくできる会話、作文、読解、聞き取りが英語となった瞬間、思うようにはできません。あせる心、自分に対する失望、周囲への羞恥――障害を発症した時となにも変わらないのではないでしょうか。

 

どのようなリハビリテーションにおいても最も重要なポイントは、症状の適確かつ詳細な把握です。そのためには、それを迅速かつ効率的に行うためのツールが必要となります。たとえば医療分野でのリハビリテーションが急速に進歩した背景には、MRI検査などの急速な普及によって脳内の疾患部位が迅速、適確、詳細に把握できるようになったことが挙げられます。こうした最先端検査ツールがなければ、医療分野でのリハビリテーションはここまで急速に進歩することはなかったでしょう。

 

では「言葉のリハビリテーション」である英語教育ではどうでしょうか。医療リハビリテーションでのMRI等にあたる検査ツールは現在あるのでしょうか。

 

英検、TOEIC、IELTSといった英語テストがそれにあたるのではないかとお考えの方もいるでしょうが、そうではないと私は考えます。それらのテストはいわば英語の「体力テスト」であり、英語力の一部を測定できますがそれ以上でありません。

 

私は、各人の英語力の具体的な問題点を迅速、適確、詳細に見つけ出す最適の方法は、英作文による診断であると考えています。この考えに至ったのは、サイマル・アカデミーでの長年の翻訳指導によるものです。たとえば英日翻訳の場合、受講生の訳文をチェックしていても、その受講生の英語力の問題点は充分に見つけ出すことができません。英日翻訳では、英語力とともに日本語力と知識が大きな役割を果たすために、たとえ英語力の問題があったとしても、抜群の日本語力と知識があれば、よい訳文ができてしまうというケースもあるからです。

 

ところが、そういう受講生であっても日英翻訳をしてもらうと、そこでつくり出された英文には、その人が抱えている英語力での問題部位が明確に検出されます。たとえば、英語名詞の認識表現の能力がきちんと身についていない人は、見事なまでにその部分を間違います。同様の間違いは、構文力や動詞認識表現能力など、あらゆる要素で発現します。英作文を通じて、その人の英語力における具体的な問題点が浮かび上がってくるのです。これこそ英語力におけるMRI検査なのではないかと私は気づきました。

 

そこで、英作文を通じて各人の英語力での問題点を検出・診断できないかと考え、開発を進めてきましたが(検出診断ベースには私の「心の翻訳」モデル(特に「心の英文法」)を用いています)、このたび、それがようやく実用に耐えるかたちになりました。そこで、この診断検査を用いて今後の改善のためのデータを集めるべく、モニターの募集を行っているところです。

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