例題やら解説文やらの「仕込み」時期

先週から10月第一週まで、サイマル・アカデミーの秋休みが続く。 毎年、この期間にはなんらかのテキストを一冊仕上げるのがここ十数年の慣例になっていたが、今年からは少し様相が違う。予定していたテキストづくりがほぼすべて終了したことから、今年からは次なる段階として日本語・英語・翻訳の総合学習プログラムのための演習問題とその解説づくりに着手することになる。 すでにかなりの量の材料はそろえてあるのだが、それでも、初級から上級までのすべてをカバーするにはまだ材料が足りない。しばらくは例題やら解説文やらの「仕込み」時期が続くことになる。 現在、その作業をおこなってところである。はっきりいって面白くはない作業だが、それでもこれをしないかぎり次につながらない。まず1000問を目標に粛々と進めることにする。

「国際英語日本版」への取り組み

私がいまおこなっているのは「国際英語日本版」という新しい言語モデルの理論、技法、学習方法を整備することである。なぜそんなことをするかといえば、英語の支配力が急速に強まるなかで日本人が日本人としての矜持を持ちながら世界で活動していくためには、国際英語日本版が必要不可欠だと信じているからだ。 こんなことをしている人間には出会ったことがないし、おそらく実際に私以外にはほぼいないであろうから、いまのところ単独行であるけれども、じっくりと話せばわかってくれる人は着実に増えている感触がある。 「国際英語日本版」の私なりの理論と技法はほぼ出来上がっており、現時点では学習方法の整備を進めているところである。翻訳の仕事やサイマルでの授業の合間に一人でこつこつと練習問題づくりに取り組んでいるのでなかなか前に進まないが、それでも演習問題がかなり蓄積されてきた。とりあえず最初の1000問を完成させようと考えている。

「英語の本を読む」とは、どういうことなのか

「本を読む」とは、どういうことなのか。渡辺京二は、次のように言う。 「何で本を読むのかと考えてみたこともあまりないけれど、省みれば、音楽や絵が好きという人とおなじく、文章というものが好きなのだと思う。「読む」というのは、文章を読むのだと思う。何を当たり前なというなかれ、読むのは内容じゃなくて文だといっているのだ。(略) 経験から言って、「読む」とは、その読む文のリズムが自分のからだに染みつくことだからだ。それがなければ、とても文など読めはしない。自分のからだに、同じことだが自分のこころに、ある場合には心地よい、ある場合には戦(おのの)くような反応が生じてきて、自分自身の生を一瞬照らし出し、拡張したり凝縮させたりする。一度そういうふうに文に心身を奪われた経験をもてば、生涯文の呪縛から抜けられない。(略) 読むというのは他者の生命のリズムを自分のからだに刻印されることなのだ。だからそこには受容と同時に拒否も生じ、自分の魂のなかを他人の魂が通過して行った痕跡、つまり抗体のごときものが形成され、多かれ少なかれ、その後の生はその抗体の働きに左右される。」(『渡辺京二コレクション[2]民衆論――民衆という現像』渡辺京二、ちくま学芸文庫、p.465-7) たしかに、そのとおりだと思う。だが、もしそうだとすれば、私たち日本人英語学習者が「英語を読む」とは、一体どういうことなのか。 私たちにとって英語を読むことは本当に「その読む文のリズムが自分のからだに染みつくこと」なのだろうか。本当に「他者の生命のリズムを自分のからだに刻印されること」なのだろうか。「一度そういうふうに文に心身を奪われた経

OxfordのThesaurusの利用をお勧めします。

日英翻訳学習者:ボキャブラリーが乏しいのですが、黙々と単語帳を覚えるという作業が苦手です。 成瀬:単語帳を覚えるのは愚の骨頂です。一案としてOxfordのThesaurusの利用をお勧めします。 ということで、ボキャブラリービルディングならば、このThesaurusが絶対のお勧め。オンラインもあるけれどペーパーバックのほうがボキャビルには効率的ですね。私の手元にいつも必ず置いてある、まさに座右の書です。価格は1000円ちょっとですから超お買い得。もっと若い時にこれに出会っていればなあ(気づいていればなあ)とつくづく思います。

サイマル・アカデミーでの成瀬による無料体験レッスンのご紹介

サイマル・アカデミーでは4月期と10月期の開講前に受講を検討されている人に向けての無料体験レッスンを実施しています。 翻訳者というキャリアを目指すうえでは年齢は関係ありません。それどころかこれまでに蓄積してきた社会経験や知識はプロ産業翻訳者としての貴重な財産となります。またサイマル・アカデミーの私(成瀬)の講座で数年間の適切な訓練を受ければ翻訳者としてのキャリアをスタートできる(もちろん本人の努力次第ですが)ことも15年の実績が証明しています。 ということで、皆さんあるいは皆さんのお知り合いのなかで翻訳者・通訳者のキャリアを考えている方がいらっしゃれば、この無料体験レッスンの存在をぜひ知らせてあげてください。翻訳に興味のある方であれば、なにか得るものが必ずあることを保証します。それになんといっても無料です(^^;)。 なお私(成瀬)が受け持つ体験レッスンは次の2つです。 翻訳準備コース体験レッスン:9月3日(日)10:00-12:00 産業翻訳英日コース体験レッスン:9月17日(日)10:00-12:00 準備コースについては私とウォラムさんという英日・日英プロ翻訳者のダブルキャストになっています。 その他の情報や連絡方法などはサイマル・アカデミーサイトをご覧ください。

サイマルアカデミー主催の「通訳者への道・翻訳者への道」というセミナーが開催されます。

サイマルアカデミー主催の「通訳者への道・翻訳者への道」というセミナーが8月26日に開催されます。(くわしくはhttps://www.simulacademy.com/news/detail.php?id=606&t=1まで) 今回の翻訳者・通訳者セミナーは、我がサイマルアカデミー産業翻訳英日コース第1期生の沢田さんが講師だそうです。彼女とともに勉強した(というか私がしごいた)のは、もう15年前のことになりました。 当時、彼女は2-3歳の娘さんを抱えながら国際弁護士事務所で秘書をやっており、そのなかでサイマルアカデミーに通って私が出す無慈悲なほどに膨大な宿題をこなしていました。いつ寝てたんですか?と尋ねたことがありますが、いつもどおりクールに笑っていました。その後、サイマルで翻訳者兼チェッカーとして働き始めてから15年というわけですが、その間にもロンドンに留学して翻訳学の修士号を取得するなど、相変わらずのムチャな人です。 当セミナーは無料なので、お知り合いのなかに翻訳者・通訳者というキャリアに興味のある人がいれば、ぜひ紹介してあげてください。高校生・大学生から60代や70代まで、すべての年代の方が対象です。 実際のところ、プロ翻訳者になるには年齢は関係がありません。いまの受講生には70歳代の方もいらっしゃいます。おそらく彼はあと1-2年の勉強でプロ翻訳者としてデビューする可能性が高いでしょう。翻訳会社のほうも年齢などまったく気にしていません。気にすることはただひとつ、実力だけです。 サイマルアカデミー産業翻訳コースからのいままでのプロデビュー最高年齢が60代中盤の方でしたので、も

ライティング/リーディングの推薦図書をご紹介

Improve Your IELTS Writing Skillsは、成瀬塾でつくっている英作文教材のタネ本のひとつ。英語上級者の英語ライティング独習用には最良の一冊です。初級中級者が独学用に用いるにはちょっと無理がありますが、きちんとした先達(たとえば私)とともに学ぶのであれば利用可です。 一方、Basic Reading Power はリーディング教材としての成瀬塾のいちおし本です。 アマゾンのおかげで英語専門家がきちんとリサーチさえすれば世界最良の英語教材がここ日本でも簡単かつ安価で入手できる時代になりました。それらの教材をアレンジして日本人なりに使いこなす独自の学習メソッドさえ開発できれば、日本人の英語能力はこれからは格段に伸びるはずです。 ここに記事の本文を入力してください。上部のアイコンをクリックして画像や動画を追加できます。

「ネイティブチェック病」を抜け出す

日英翻訳の現場では日本人翻訳者が訳した英文には「ネイティブチェック」を必ずおこなうことが前提となっている。そのために翻訳会社ではネイティブチェッカーの確保に多大の費用と労力をかけ、それによって納期とコストに多大の負担が生じている。そしてその状況に対して翻訳業界の誰もが疑念を抱いていない。 だが英語ノンネイティブ間の英語コミュニケーションが世界の英語使用の大半を占める現在、このような日本の翻訳業界の体質は単なる「ネイティブチェック」信仰に過ぎないのではないか。そしてそれが日本の翻訳だけではなくグローバル発信そのものを阻害しているのではないだろうか。 この状況を抜け出すことは決して容易ではない。なぜならそれは日本人の心に深く根付く「英語ネイティブ」信仰を反映したものだからである。

「アカデミック・ライティング」をご存じだろうか

「アカデミック・ライティング」をご存じだろうか。おもに英語の学術論文を書くときに用いられる文章形式のことで、英米の大学・大学院で課される文章(論文)はアカデミック・ライティングの特徴やルールに沿って書かなければならないとされている。 アカデミック・ライティング形式の特徴は、科学的で論理的でわかりやすいところにあるとされている。文章構成は基本的にメイントピック-サポートコメントの組み合わせに徹しており、文章ルールもかなりこまかく設定されている。そのため誰が書いてもほぼ同じ文体となることから、たしかに読みやすくわかりやすい。 こうしたことを反映してか、最近では日本の大学でもアカデミック・ライティングを教えるところが多くなった。私の母校の早稲田大学ではわざわざライティング・センターという組織を立ち上げてそこでアカデミック・ライティングを教えているようだ。アカデミック・ライティングを取り扱った本も数多く出版されている。 私自身も20年近く前につくった『新しい英語の学び方】というテキストのなかでアカデミック・ライティングについてはかなり詳しく解説している。自分でいうのもなんだが非常によくまとまっているのでお勧めである。読みたいかたはhttps://sites.google.com/site/newwaytostudyenglish/1/047まで。 しかしながらその一方、私の見立てでは最近のアカデミック・ライティングブームは、少し行き過ぎの感がある。アカデミック・ライティング形式が数ある文章形式のなかでも特に優れたものであるかのような印象を与える言質も、なかには出てきている。もちろんそん

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