多くの日本人英語学習者は、英文法の「品詞」(Part of Speech)という概念を本質的に誤解しています。

多くの日本人英語学習者は、英文法の「品詞」(Part of Speech)という概念を本質的に誤解しています。英単語は「動詞」「名詞」「形容詞」「前置詞」「副詞」といった「品詞」にそれぞれに分かれるものである、と無意識にですが考えているのです。これが本質的な間違いであり、すべてのボタンの掛け違えの始まりです。

英語の単語に「動詞」「名詞」「形容詞」「副詞」「前置詞」といった種類の単語があるのではありません。「品詞」とは英単語がセンテンスのなかで果たす役割、つまり「単語の用法」を分類したものです。言い換えると「動詞」があるのではなく「動詞用法」があり、「名詞」があるのではなく「名詞用法」があり、「前置詞」があるのではなく「前置詞詞用法」があるということです。

ところが学校英語ではこのことを明確に教えません(それどころかそもそも現在の中学校では「英文法」そのものを教えないのです!)。また高校の有名英語参考書(たとえばForest)には「動作や状態を表す語を動詞と呼ぶ。動詞を文中で用いるときには、自動詞として用いる場合と、他動詞として用いる場合がある」などと、わけのわからないことが書いてあります。

こうしたでたらめ状態にあるため、もし私が中学生や高校生に「waterの品詞はなんですか」と尋ねるとすると(実際にはこんな質問は私は絶対にしませんが)多くの生徒が「名詞です」と答えることになるでしょう。しかし、これは間違った認識です。water=名詞ではないのです。

たしかに日本語では「水(みず)」はあくまで名詞であり、「水(みず)る」「水(みず)った」と動詞になることはありません。しかし英語ではそうではありません。waterは動詞(水をかける、水を飲む)としても用いることができます。英単語の品詞とはそれぞれの語の「用法」(用い方)なのです。

許容する用法の広さは単語によって違います。theやatなどのようにひとつの用法しか持たない語もありますが、英語の語の多くは複数の用法を持ちます。例えばchairには名詞用法以外に動詞用法があります。walkにも動詞用法と名詞用法があります。manやdeskといった名詞用法しか許容しないようにみえる語にも動詞用法があります。roundには形容詞用法のほかに動詞用法も副詞用法も名詞用法も前置詞用法もあります。roundはほぼすべての品詞をカバーするのです(オールラウンドです)。

たしかに英語の語のなかにも、動詞用法しかない語(動詞にしか使えない語)、名詞用法しかない語(名詞にしか使えない語)というものがあります。これを仮に「純粋動詞」「純粋名詞」と呼ぶことにしましょう。上に挙げたtheなどのほかに、たとえばgirlやboyは「純粋名詞」の例であり、haveは「純粋動詞」の例です。しかし、こうした語はあくまでも少数派です。一般に英語の語は複数の「品詞」(用法)を持つのです。

いっぽう、日本語には「動詞」「名詞」「形容詞」という「語」そのものが厳然として存在します。「走る」「飲む」は必ず動詞です(run, drinkと比べてみましょう)。「椅子」「机」は必ず名詞です(chair, deskと比べてみましょう)。

この日本語と英語の「語」の本質的な差異を生徒にきっちりと教えないために、多くの日本人英語学習者が最初から道に迷うことになるのです。本当に腹立たしいことです。

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