theやaの付け方や単数形や複数形の使い分けに少々失敗したって、ちっともかまわない

英作文や英語ライティングの指導をしていると、生徒さんの英語名詞表現の間違いを指摘することが、どうしても多くなる。名詞表現にtheやaがついているかいないか、単数形なのか複数形なのか、といったことである。

多くの場合、こうした間違いを指摘すると、多くの生徒さんは、恥ずかしそうな、悔しそうな、なんともいえない表情を浮かべる。上級クラスになればなるほど、そうした表情を浮かべるケースが多くなる。

生徒さんの心の中には、これまで英語を一生懸命勉強してきたのに、それでもこんな間違いをするなんて、自分の能力はなんと低いのだろう、といったような気持ちが生じているのだろうと、私は推察する。なぜそのように推察できるかといえば、以前の私がそうだったからである。

しかし、こうした自己反省は、まったく不要である。さらにいえば有害である。それは、英語に対する根拠のない自信喪失感を生み出すだけであって、なんら生産的ではない。そんなことでくよくよしたり自己反省したりするのは、一部の英語ネイティブとその手先連中が展開している、日本人の英語コンプレックスに付け込む英語ビジネス(「日本人英語のここがヘンだよ!」マーケティングの悪辣さを見よ)を、ただ肥え太らせるだけのことである。

敢えて言えば、theやaの付け方や単数形や複数形の使い分けに少々失敗したって、ちっともかまわないのである。そもそも、英語の名詞認識表現は世界の言語からみても非常に特殊であって、英語ネイティブ以外には誰も正確には使いこなせないものである(もっといえば、英語ネイティブだってあやしいものだ)。

たとえば、中国人やロシア人の使う英語にはtheが非常に少ない。これは中国語やロシア語には冠詞にあたる言語表現がないからである。一方でフランス人の使う英語ではtheが多くなる。これはフランス語の定冠詞(le、la、les)の利用範囲が英語のtheよりも広いためである。なお日本人の書く英語にはtheが非常に多いことが知られている。日本語人には英語名詞表現に何もつけないことを非常に不安に思う性質がある。これは名詞/動詞のかたちに違いがない英語に対して、日本語では名詞/動詞のかたちが明確に分かれていることに一因があると私は推測している。

もちろん、theやaや単数や複数の用法を間違えないでいるに越したことはない。それは当たり前である。えっ、たとえtheのひとつの間違いでも、言葉としての魅力が減じるって? そんなことはわかっている。でも、それはネイティブ英語としての話だ。ここで話しているのは、私たち日本人が日本人として用いる国際英語のことだ。混同してはいけない。

国際英語としてみるならば、theがひとつ抜けたり多かったりするのは、たとえばセンテンスに主語がないといった英語の根幹を揺るがすような重大なミスに比べると、たいした間違いではないのである。このように、それぞれのミスに関する本質的な意味合いを、私たちは正しく知っておくべきである。

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