日経記事「正義が物言う経済政策」について

今日(2017/12/21)の日経の記事「正義が物言う経済政策」が非常に面白い。Financial Timesのチーフ・フォーリン・アフェアーズ・コメンテーターのギデオン・ラックマンの主張だ。一部を抜粋する。

「経済学は道徳哲学の一部だ。あるいは、そうあるべきだ。(略)しかし金融危機以降、(トランプ米大統領と彼の支持派がよく使う言葉で言うところの)「グローバリスト」たちは、道徳的な議論で説得力を失い始めた。金融危機で多くの人が生活水準の低迷を余儀なくされる一方、いくつもの銀行が救済されたという事実は、多くの有権者にはあまりにも自然の正義に反するものであり、怒りを招いた。欠陥を抱えた金融システムのトップに座っていた者たちの誰も刑務所に送られることはなかった。そうした状況が、「システムが不正に操られている」と主張するトランプ氏のような政治家たちの台頭を許した。」

アダム・スミスにしてもカール・マルクスにしても、その経済思想は道徳哲学を基盤にしてつくりだされた。本来、経済は倫理的でなければならない。だがそのことを、2008年の金融危機以降において、欧米の政治家たちは人々に示すことができなくなってしまった。善人たちが苦しむなか、その苦しみを作り出した張本人たちが何も罰せられることがなかったのだ。

ラックマンは次のようにしめくくる。

「現世代の欧米の政治家はみな、「経済こそが問題だ。当たり前じゃないか」という、かつてビル・クリントン氏が1992年の米大統領選挙で掲げたスローガンと共に育ち、その言葉が頭のなかで鳴り響いている。だが、今の政治では「経済」は成長だけの問題ではない。正義の問題でもあるのだ。」

この視点からとらえると、現在の日本の政治状況は、どうなのだろう。こうした点を論じる価値ある記事が日本の新聞にも、どんどんと出てきてほしいと思う。

出口治明は、読売新聞サイトのインタビュー記事の中で「日経新聞はFTの記事の転載を行っていますが、FTと日経記者の記事が同じ紙面に載ると、差がありすぎてかっこ悪い。これを契機として、日経の記者がもっと発奮して、FT並みの記事を書けるように成長してほしいですね。」と述べているが、ぜひそうなってほしいものだ。

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