日本の英語教育は「国難」

スラヴ文学者で東大教授の沼野充義が、毎日新聞の書評欄で『史上最悪の英語政策-ウソだらけの「4技能」看板』(阿部公彦)と『英語教育の危機』(鳥飼玖美子)を取り上げて、現在の日本の英語教育の現状を「国難」と断じている。論評の出だしは次のとおり。

「国難である。原発のことでもなければ、北朝鮮のことでもない。英語教育の問題だ。ある国の繁栄も強さも、長い目で見ればその土台となるのは、次の世代の教育である。それがいま大変なことになっている。」

つづいて問題の背景と取り上げた2冊の内容を説明したのちに、沼野は自分の意見を次のように述べる。

「最後に一言、評者の個人的な考えを付け加えておくと、「ペラペラ信仰」などそろそろ捨てるべきではないか。英語教育改革の議論で乱発される「コミュニケーション」という言葉もあまりに空疎。人間どうし、特に立場が異なる人の間や異文化間のコミュニケーションというのは、英語で「買い物ごっこ」ができる、といった次元のことではない。 そもそも、どうしてスピーキングを大学入試でテストしなければならないのか?高校までに学ぶべきもっと大事なことはないのだろうか?英語ばかりに力を注げば、当然、他の教科が手薄になるだろう。日本語できちんと他者と話し合い、理解し合う能力と、そのために必要な人間としての教養を身につけさせるのが先ではないか?いまの政治家たちを見ているとつくづくそう思う。このままでは、英語がペラペラになる前に、日本語が滅びますよ! それに、どうして英語だけなのか?中国語や韓国語やロシア語ができる人材の養成にも少しは力を入れないと、国益を損なうのではないか?」

私は以前から沼野充義の大ファンであり、心から尊敬できる数少ない言語研究者の一人でもある。その沼野先生の考え方が私の考えと完全に一致しているとは、なんと嬉しいことであり、なんと光栄なことだろう。

ご紹介した毎日新聞のサイト(https://mainichi.jp/articles/20180121/ddm/015/070/064000c)は月に5ページまで無料で読めるようになっているが、これこそがその5ページ分を使うに値する記事である。皆さん、ぜひぜひ、読んでみてください。

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