【日本語ワンポイントレッスン】 「~した」「~してしまった」「~したところだ」「~したばかりだ」は、どう違う?

あなたが日本語を勉強中の留学生と待ち合わせをしているとします。ところが待ち合わせ時間に少し遅れてしまいました。到着した時にその留学生に「遅れてすみません」といったところ、彼/彼女はにっこりと笑って、次のように答えました。

1. 「ついさっき、来ました。」 2. 「ついさっき、来てしまいました。」 3. 「ついさっき、来たところです。」 4. 「ついさっき、来たばかりです。」

1と2は、日本語としておかしいですね(特に2)。3と4とでは、3よりも4のほうが、より深い「気遣い」が感じられます。

この差は、「~した」「~してしまった」「~したところだ」「~したばかりだ」の使い分けから生じるものです。

「~した」は、ある動きや変化が終わったという客観的な事実を示す表現です。そして、それ以外の情報を含んでいません。そのため、こちらが「すみません」と相手に謝罪を伝えようとしているのに対して、「ついさっき、来ました。」と客観的事実のみを提示するのは、かなり奇妙に感じられます。別の場面、たとえば「いつ、来ましたか?」という客観性の強い問いに対してならば「ついさっき、来ました。」と答えても大丈夫です。

「~してしまった」は、ある動きや変化が終わったという客観的な事実とともに、それが終わったことに対するある種の後悔や残念な気持ちを表現しています。したがって「すみません」と謝罪を伝えようとしていることに対して「来てしまいました」と返答するのは的外れの対応であり、だから非常に奇妙に聞こえるのです。

「~したところだ」は、動きや変化が終了した、まさにその「トコロ(一場面)」を表す客観的な表現です。ですから、この場合、「すみません」という謝罪表現に対して自分の主観を交えずにクールに対応するのならば、「ついさっき、来たところです。」は、おかしくありません。

「~したばかりだ」は、動きや変化が終了したという事実に加えて、その事態の完了時から言語化するまでの時間経過が限定的であり「短い・足りない」という話し手の主観(評価)を表現します。したがって「すみません」と相手が謝罪を伝えようにする場合には「いえいえ、ついさっき、来たばかりです。」と答えることで、ここに着いてからの時間経過は自分にとって主観的に短いものだったという「気持ち」を相手に伝えることができます。ゆえに1から4のなかでは、この表現がもっとも日本語人の使う「気遣いのある」日本語らしく聞こえるのです。

1から4までを英語にすると、どれもが、I have just come.にあたります。この英語には、日本語の「~したばかりだ」のような主観的な心の動きは表現されていません。

そのため、日本語学習歴の浅いノンネイティブ日本語学習者は「ついさっき、来ました。」というニュートラルな表現を選択してしまうことが多いようです。そんなときは、上記のような説明をしてあげると、喜ばれるのではないかと思います。

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