成瀬塾通信 no.16 前置詞(1):前置詞は動詞の一種

前置詞には、従来の文法では指摘されていない、非常に重要な事実がある。すなわち、前置詞とはじつは動詞の一種である。

前置詞(preposition)の「前置」とは「目的語の前に置かれる」という意味である。だが、考えてみてほしい。動詞もまた目的語の前に置かれる「前置」詞(preposition)なのである。

別の言い方をすれば、前置詞とは、主に動詞の現在分詞形から派生して、意味的には(おもに)空間的イメージ認知に特化し、用法としては前置詞用法のみに特化した、「特殊」動詞のことである。

前置詞の成立過程をみても、動詞から進化してきたものが非常に多い。たとえば、between, across, during, pastなどにはbe動詞やcross, dure, passといった動詞のなごりがいまでも感じられる。

また、concerning, regarding, excepting、includingなどは現在では文法範疇として現在分詞ではなく前置詞としてすでに認知されてはいるものの、現在分詞としてのニュアンスがまだかなり残されている。

したがって私たちが英語を読んだり書いたりするときには、前置詞を「特殊」動詞として認識しなければならない。

たとえば、前置詞句と分詞句とは同じ認識のもとに理解すべきである。どちらもSVO節のSubjectが省かれた表現である。

【機能文法での前置詞の位置づけ】

従来の文法理論を堅く信じる人々のなかには、前置詞が「特殊」動詞であるといった「心の英文法」の主張には根拠がなく荒唐無稽であるとみなす人もいるかも知れない。あるいは、従来学んできた文法からはあまりにもかけ離れているために、どうも信じきれないと思っている人もいることだろう。

そこで、そうした反発や疑いを払拭するために、従来の文法理論のなかにも前置詞を動詞のグループとしているものがあることを紹介しておく。

以下の図は、M.A.K. Halliday他の著書、An Introduction to Functional Grammarからの抜粋である。なおHallidayは機能文法の創始者として著名な英国出身の英文法学者である。

この図では、verbとprepositionが、verbalという機能分類の下位概念としてまとめられている。これは、動詞と前置詞が動詞性という同じ機能を持っていることを示している。

このように従来の学問的な文法体系のなかでも前置詞を動詞とグループ化しているものが存在する。

したがって、数ある文法体系のひとつにすぎない学校英文法の体系に思考を縛られることは、無意味であるばかりでなく有害でもある。

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