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You! Control yourself! Take a good look at this insignia!

「ええい」は、You!。「お前たち!」のニュアンスです。

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「ええい、静まれ、静まれ。この紋所が、目に入らぬか!」

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三つの「英語」――ENL, ESL, EIL

October 31, 2018

ENL, ESL, EIL

 

国際英語の研究に関する著名な書のひとつTeaching English as an International Language (Sandra Lee Mckay, Oxford University Press)では、世界の英語使用国を次の3つ領域に分けている。

 

(1)英語ネイティブ諸国(Inner Circle)
(2)英米の元植民地国(Outer Circle)
(3)それ以外の諸国(Expanding Circle)

 

 

 

Inner Circleで使われる英語を同書は「母語としての英語」(English as a Native Language, ENL)と呼んでいる。Outer Circleで使われる英語については「第二言語としての英語」(English as a Second Language, ESL)と呼んでいる。そしてExpanding Circleで使われる英語を、同書は「国際語としての英語」(English as an International Language, EIL)と定義づけている。

 

それぞれの「英語」の使用人口(1997年現在)をみてみると、「母語としての英語」で3億2,000万人~3億8,000万人、「第二言語としての英語」で1億5,000万人~3億人、「国際語としての英語」で1億人~10億人とみている。また、この本が発表されてからすでに20年が経つので、現在では「国際語としての英語」の使用人口は飛躍的に増えていると考えてよいだろう。

 

使用人口に関する制度が外側へいくほどに落ちるのは、どこまでを英語「使用者」とみなすかの定義づけが難しいからである。たとえば、日本は「国際語としての英語」圏に属する一国だとみなされているが、では、実際にどのくらいの英語「使用者」がいるかとなると、たしかに特定化が難しい。いまこれを読んでいるあなたは、英語「使用者」なのだろうか。

 

EILと文化

 

Teaching English as an International Languageでは、国際語としての英語(以下「EIL」)を考えるうえで次の2つの点を中心に考察をおこなっている。(1)EILにおける英語文化と各国文化の位置づけ、(2)EILとしての規範のあり方、である。

 

まず(1)の国際英語と各国文化との関係性をみてみよう。同書によると、EILはENLつまり英語ネイティブ国の文化から影響を受けない存在であるべきだと、多くの研究者は考えているようである。それと同時に、国際英語はOuter CircleやExpanding Circleの文化からも独立したものにするべきだとも考えている。

 

これを、日本にあてはめて考えてみよう。もし私たちが英語を「国際英語」として学ぶならば、その学習は英米文化から切り離されなければならない。つまり、私たちがジョージやメアリーになる必要はまったくなく、さらにいえば、なってはいけないのである。と同時に、英語に日本文化からの影響を入れてしまうことにも注意をしなければならない。

 

Expanding Circleに属する私たちが英語を学ぶ目的は、英語ネイティブ国の文化を知ることではなく、あるいは、英語を鏡にして日本文化を学ぶことでもない。それはあくまで、自分たちの考えを相手に正しく伝え、相手の考えを正しく理解することにある。英語は人間交流の道具だということである。

 

EILと規範

 

つぎにEILと規範の関係である。Inner Circleが使う英語はもちろんネイティブ英語であり、それには当然ながら従来からのネイティブ英語の規範が適用される。

 

では、EILの場合はどうだろうか。やはり、従来からの英語の規範が適用されるべきなのだろうか。それとも、EILとしての新しい規範をつくるべきなのだろうか。新しい規範をつくるとすれば、その規範はどのようなものであるべきなのだろうか。

 

この点について、1984年のブリティッシュ・カウンシル創立50年記念の会議において、二人の著名学者のあいだできわめて興味深い論争があったとTeaching English as an International Languageは紹介している。二人の学者とはRandolph QuirkとBraj Kachruである。

 

Randolph Quirkは、日本でもきわめて有名なイギリス人の英語学者である。いっぽうBraj Kachruは日本ではあまりその名前が知られていないが、やはり世界的に有名なインド系の英語学者である。この二人がEILにはどのような規範が必要かということで丁々発止のやり取りをしたのである。

 

まずRandolph Quirkの意見であるが、これはきわめてシンプルである。すなわち、いかなる英語であっても、英語であるかぎり共通の規範は必ず必要不可欠だということである。言い換えれば、たとえ国際英語であってもネイティブ英語の規範にしっかり従いなさいということである。

 

対してBraj Kachruは、次のように反論したという。

 

In my view, the global diffusion of English has taken an interesting turn: the native speakers of this language seem to have lost the exclusive prerogative to control its standardization; in fact, if current statistics are any indication, they have become a minority. This sociolinguistic fact must be accepted and its implicaition recognized. What we need now are new paradigms and perspectives for linguistic and pedagogical research and for understanding the linguistic creativity in multilingual situation across cultures. (Kachru 1985: 30)

(Teaching English as an International Language, p.51)

 

これに続けてKachruは、英語の規範を現在の「ソリッド」なものではなく、ある程度「ルース」なものとしたとしても、英語のIntelligibility(知的能力)は決して落ちることはなく、逆に英語の規範の多様性を認めることで教育的にはよい方向へいくかもしれないと主張したのである。

 

たしかにKachruがいうように、現在の世界の英語使用者のなかで、英語ネイティブはすでに多数派ではない。それどころか、Kachruがそう主張してから20年以上を経た現在、英語使用者のなかの英語ネイティブの比率は、完全なマイノリティとなってしまっている。そのマイノリティの規範をそのままマジョリティに踏襲しろというのがQuirkの主張なのだが、これはどうみても無理筋である。“the global diffusion of English has taken an interesting turn”というKachruの発言に強い説得力を感じるのは、おそらく私だけではないだろう。

 

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